
好きなものを愛を込めて書きます。
ご参考になれば嬉しいです!
- 筆者は自然派ワインやシャンパーニュ、ブルゴーニュを扱うお店に勤務
- ソムリエという仕事柄、自然派中心に年間2000本以上のワインを抜栓
- 実際飲んでこれは本当に美味しい!と思ったものだけをレビュー
- 価格帯は小売価格で3000円〜6000円くらいのものが中心(たまに高いのも)
- ワインは究極の嗜好品と考えていますので、レビューは個人的好みが出ます
アレクサンドル バン ピエール プレシューズ 2017年|今回試飲した自然派ワイン

生産者名 | アレクサンドル・バン Alexandre Bain |
キュヴェ | ピエール・プレシューズ Pierre Preciuse |
葡萄品種 | ソーヴィニョン・ブラン100% |
ヴィンテージ | 2017年 |
産地 | フランス ロワール プイィ・フュメ |
土壌 | 石灰質 |
インポーター | 野村ユニソン |
生産者情報|アレクサンドル バンとセバスチャン リフォーの共通点と相違点
前回の記事でロワール、サンセールの【セバスチャン・リフォー】という造り手をご紹介させて頂きました。
一般的なサンセールの概念を覆す、非常に濃厚な個性あるワインを造る造り手です。そのセバスチャン・リフォーをご紹介したからには、この造り手も紹介しなければなりません。
ロワール河を挟んで対岸の銘醸地「プイィ・フュメ」で同じくソーヴィニョン・ブランを造る【アレクサンドル・バン】です。
二人は公私共に仲が良く、よく顔を合わせてはいつもワインの話をしています。
筆者は実際に二人とも会ったことがあるのですが、ワインに関する話の内容のみならず、立ち振る舞いもどこか共通点があり、なんだか微笑ましかったのを覚えています。
ワインに関して言うと、早積みされがちなソーヴィニョン・ブランという品種を完熟するまで収穫を遅らせる、それにより果実味と圧倒的な凝縮感を持ったワインを造り出すということ。
更に酸は適度に保った状態を見極め、美しい酸と繊細なミネラルも併せ持ったワインを造るという話は共通点がありました。
セバスチャン・リフォー同様に「プイィ・フュメ」らしくないソーヴィニョン・ブランを造り出すアレクサンドル・バン。
ワイン造りの目標もセバスチャンと同じく「本来のプイィ・フュメ」を追求するところにあります。
出来上がったワインはどちらも「蜜」のニュアンスを強く感じるのですが、セバスチャンのそれとは少しだけ違った印象。
個人的な感想で言うと、ぽってりとした優しい印象のセバスチャン・リフォーのワインに対し、アレクサンドル・バンの方が端正でエレガントさがあり、「蜜」の濃度が高いように感じます。(もちろんヴィンテージやキュヴェによる違いはあると思いますが…)

私はどちらも大好きですが笑
試飲レビュー|美しい酸と「蜜」を感じる本物のプイィ・フュメ、ソーヴィニョン・ブラン
アレクサンドル・バンの造るワインには、区画ごとに以下の種類があります。
- ピエール・プレシューズ
- テール・ドーブ
- レ・グラン・ザット
- エル・ダンジュ
- シャン・クチュリエール
- マドモワゼル・エム
- レ・グランド・アテ
全てソーヴィニョン・ブラン100%で造られます。それぞれに違った個性があり、飲み比べられたら最高に楽しいだろうなと常思っています。
また。エチケットのトレードマークの大きな「A」が色違いで用意されており、コレクター心をくすぐりますね。
以前は6〜7年前は「Rouge」というキュヴェ(ピノ・ノワール、ガメイ)があったと思うのですが、最近は日本に入ってきてない?もう造っていない?のかな。とても美味しかった記憶がありますが…
今回試飲したのは彼の最もスタンダードなキュヴェ「ピエール・プレシューズ」。抜栓すると、爽やかかつ濃度のある香りが鼻に通ります。
グラスに注ぐと、やはり一般的なものより濃いめの黄金色です。
液体の透明感も、セバスチャンのワインに比べるとあるように思います。
凝縮感は同じくですが、液体のとろみはアレクサンドル・バンの方がやや強いですね。
果実味は活き活きとしており、ソーヴィニョン・ブランらしい青いニュアンスもかすかに。とにかく美しい蜜のニュアンスと酸味とのバランスが良く、完成されています。とても美味しいです。
アレクサンドル・バンのワインも、自然派ワインにありがちなネガティブな要素は感じず、とてもクリーン。
唯一、これまで抜栓したことがある彼のワインは、酸化の方向へ引っ張られるのが早い印象でしたが、今回試飲した2017年はその傾向が穏やかで、4日ほどは十分に楽しむことができました。ゆっくり楽しむのにも向いています。
アレクサンドル バン ピエール プレシューズ 2017年|まとめ
今回のアレクサンドル・バン|ピエール・プレシューズ2017年の感想を簡単にまとめます。
- ソーヴィニョン・ブランのイメージとは違う濃いめの黄色。液体はクリア。
- 上品な酸と凝縮感、美しい蜜のニュアンスがリッチな雰囲気。
- 抜栓直後は柑橘系のアロマ、時間の経過により熟れた果実のアロマが。
- いつもの彼のワインより長持ちする印象。
本物の「プイィ・フュメ」を追い求めるアレクサンドル・バン。
対岸のセバスチャン・リフォーとの飲み比べも面白いと思いますよ。