
好きなものを愛を込めて書きます。
ご参考になれば嬉しいです!
- 筆者は自然派ワインやシャンパーニュ、ブルゴーニュを扱うお店に勤務
- ソムリエという仕事柄、自然派中心に年間2000本以上のワインを抜栓
- 実際飲んでこれは本当に美味しい!と思ったものだけをレビュー
- 価格帯は小売価格で3000円〜6000円くらいのものが中心(たまに高いのも)
- ワインは究極の嗜好品と考えていますので、レビューは個人的好みが出ます
アリス エ オリヴィエ ド ムール シャブリ コトー ド ロゼット 2015年|今回試飲した自然派ワイン

生産者名 | アリス・エ ・オリヴィエ・ド ・ムール Alice et Olivier de Moor |
キュヴェ | シャブリ・コトー・ド ・ロゼット Chablis Coteau de Rosette |
葡萄品種 | シャルドネ100% |
ヴィンテージ | 2015年 |
産地 | フランス ブルゴーニュ シャブリ |
土壌 | キンメリジャン |
インポーター | ラシーヌ |
生産者情報|ブルゴーニュ、シャブリの数少ない自然派ワインの造り手

アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールはみなさんご存知、フランス・ブルゴーニュ地方の「シャブリ」という地域の造り手さんです。
「シャブリ」という銘柄は、ワインを普段あまり飲まないという方も聞いたことがあるキーワードのようで、お店でもよく売れます。(特に40〜50代のお客様が多いですね)
その「シャブリ」というとまず真っ先に思い浮かぶのが、「キンメリジャン」という土壌でしょうか?
シャブリの畑で見られるいわゆるキンメリジャン土壌は、粘土の中にキンメリッジの石灰岩が混ざった土壌です。石灰岩の多くはウミユリやサンゴなどの海洋生物の殻が堆積して出来たもの。つまり大昔は海底だったことを意味します。シャブリのキンメリジャン土壌の場合、この石灰岩にエグゾジラ・ヴィルギュラ(Exogyra Virgula)と呼ばれる小さな牡蠣の仲間の化石が含まれているのが特長です。
dressing キンメリジャンがワインに何を与えるのか?~ワインマニアのためのテロワール講座その1~ より引用
「シャブリ」はその昔は海底だったんです。石灰質の土壌には当時の牡蠣の化石が含まれており、その土壌はミネラルを豊富に含んでおり、葡萄〜ワインにもその影響が現れるのでは…とされています。
アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールのワインも他の「シャブリ」のワイン同様にミネラル感のあるワインに仕上がるわけです。
ちなみに彼らのワインには区画ごとに以下のキュヴェがあります。
- シャブリ・コトー・ド ・ロゼット
- シャブリ・べレール・エ・クラーディ
- シャブリ・ユムール・デュ・タン
- シャブリ・1erクリュ・モン・ド・ミリュー
- シャブリ・1erクリュ・ヴォ・ド・ヴェイ
- ブルゴーニュ・ブラン・シトリー
- ブルゴーニュ・アリゴテ
- ブルゴーニュ・アリゴテ・ドートルヴァッレ
また、買い葡萄によるネゴス部門もあります。
ネゴスは「ル・ヴァンダンジャー・マスケ」という名義で展開。
ブルゴーニュの優良生産者から買い取った葡萄や、他の地域の生産者の葡萄も含まれており、アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールの新しい魅力を見ることができます。
試飲レビュー|クリーンで優しい液体は自然派が苦手という方にも大人気

いわゆる「自然派ワイン」と言いますと、亜硫酸塩を控えた造りなのでどうしてもあまりよろしくない香りや味わいにも影響が多く出てしまうというイメージがあるのですが、
アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールのワインにそういった感触を覚えたことはほとんどありません。
液体は極めてクリーンで、優しさのあるレモンのような美しい酸味があります。
何より総合的なバランスの整い方が素晴らしい。
やはり彼らの技術と惜しまない努力の賜物だろうと思います。
今回試飲した「コトー・ド ・ロゼット」は彼らのワインの中でも、価格の高いワイン(市販価格6000円くらい)です。
2015年は非常に暑かった年ということもあり、熟れた果実感が非常にわかりやすく、いつもより液体にも厚みがあるように感じます。
程よくバニラやロースト香も溶け込んでおり、リッチな雰囲気もありますね。
しかしながらゴツゴツしているわけではなく、あくまで優しい。やはり彼らのワインなわけです。
リリースから2〜3年寝かせておいたものですが、まだまだポテンシャルを感じるワインでした。
実際にクラシックなワイン好きの方にお出ししても非常に喜ばれますし、ワイン初心者の方からも本当に美味しいとご感想を頂きます。
最近は葡萄の収量減に悩まされるヴィンテージが多いようですが、彼らを慕う仲間たちから葡萄を買取り、ネゴス部門も頑張っています。
シャブリの葡萄だけでなく、南仏の葡萄で造ったりもしています。定番のラインとは違った、彼らの新しい魅力に触れることができると思いますよ。
(南仏の葡萄でもアリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールの味になるのが不思議かつ興味深いです)
アリス エ オリヴィエ ド ムール シャブリ コトー ド ロゼット2015年|まとめ
今回のアリス・エ・オリヴィエ・ド・ムール|シャブリ・コトー・ド・ロゼットの感想を簡単にまとめます。
- キンメリジャン土壌から来ると思われるしっかりしたミネラル感。
- 2015年は非常に暑かった年ということもあり、とてもリッチな液体。
- そんな中でも優しく綺麗な酸は健在。
- ワイン初心者から自然派ワイン愛好家、クラシック派まで幅広くおすすめ。
レ・カイユ・ドゥ・パラディ(クロード・クルトワ)との出会いがきっかけでナチュラルな方向へ進むことになったアリス・エ・オリヴィエ・ド・ムール。
しかしながら液体はあくまでクリーン。いつどのキュヴェを飲んでも基本外さない安心感、安定感のある造り手。
ちなみに筆者はこの造り手から自然派ワインに嵌りました。
本当にどれを飲んでも外さないので、何を選べば良いかわからない!という方は一度試して見ることをおすすめします。
ここでご紹介しているワインの造り手は小規模な造り手ばかりなので、生産本数は非常に少ないです。その上人気も高いので、入荷→売り切れのスパンは非常に早いと思われます。(煽りじゃなくホントに)
アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールのワイン一覧はこちらから(楽天市場内)
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