みなさん、シャンパンはお好きですか?
私は大好きです。
数ある発泡性ワイン(スパークリングワイン)の中でも群を抜いて高品質。
きめ細かな泡立ちと華やかな香り、奥深い味わいに整った酒質….
虜になってしまった方も多いと思います。
また、「祝いの酒」のイメージも強く、高級レストランでのお食事はもちろん、ご自宅でのお誕生日、記念日のお祝いなどにも最適なワインです。
暑い時期にキンキンに冷やして外で飲むなんていうのもなかなか贅沢で良いですね。
今回はそんなシャンパンについて。
ワイン好きの方には不要な情報かもしれませんが、初心者の方にも理解しやすいように
- 一般的なスパークリングワインとの違い
- シャンパンの定義
- ラベルの見方、甘辛の見分け方
などなど知っておくとお役に立ちそうなことを簡単にご説明したいと思います!
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「シャンパン」と表記していますが、筆者は普段は「シャンパーニュ」と呼んでいます。
どちらでも間違いではないですし、大きな差があるわけではないと思いますが、「シャンパーニュ」の方がやや通っぽいですかね笑
日本では「シャンパン」と呼ぶ方が多いようですので、ここでは便宜上そちらで通したいと思います。
シャンパン(シャンパーニュ)とは?その定義|一般的なスパークリングワインとの違い
まず、「シャンパン」とはすべての「スパークリングワイン」のことを指すと思っている方が多いのですが、それは違います。
フランス・シャンパーニュ地方で造られ、厳しい基準をクリアしたワインのみ
「シャンパン」
(もしくは「シャンパーニュ」)
と名乗ることができるのです。
ちなみにそのまんまですが、「スパークリングワイン」とは発泡性のワインの総称です。
ここでは「シャンパン」とは何か?その定義についてお話ししたいと思います。
シャンパンの歴史
フランス・シャンパーニュ地方は非常に寒い地域
シャンパーニュという地域はブドウ栽培が可能な北限の地と言われており、非常に寒い気候の地域です。
シャンパーニュの一年間の平均気温は11℃、ボルドーは13℃とフランスのその他の銘醸地と比べてもその寒さがご理解いただけるかと思います。
そういった環境で育った葡萄は糖度が低く、その葡萄で普通にワインを造ったとしても非常に酸味の強いものしかできないのです。
また、日射量も少ないので葡萄の色付きも悪いです。赤ワインを作っても淡いピンク色、ロゼのような見た目に仕上がるものがほとんどです。
修道院によるワイン造り
フランス・シャンパーニュ地方にワインが伝わったのは紀元前。
かつてローマ帝国の領土だったシャンパーニュという地域にローマ人がワイン造りを伝えます。当時は現在とは違い赤ワインが中心に造られていたそうです。
その後、11世紀から12世紀頃には修道院による葡萄栽培、ワイン造りが開始。
これは当時のシャンパーニュ地方の司教ギョーム・ド・シャンポーが修道院に葡萄栽培とワイン造りの特権を与えたことによるもので、それ以降この地でのワイン 造りの研究開発が修道院によってどんどん進んでいきます。
「シャンパンの神様」ドン・ペリニヨンという人物
おそらく「ドン・ペリニヨン」という名前は聞いたことがある方も多いでしょう。
今では高級シャンパンとしての名前の方が有名かもしれません。夜の街でも振舞われているイメージですね。
略して「ドンペリ」と呼ばれています。
そんなラグジュアリーなイメージ、高級なお酒のイメージが強いかもしれませんが、この「ドン・ペリニヨン」というのは実はシャンパンの歴史を語る上で非常に重要な人物の名前。(正確には「ドン・ピエール・ペリニヨン」)
彼は当時の修道院のセラリウス(酒庫係)を勤めていた人でした。
葡萄の栽培からワインの醸造までも管理していた彼はその後「シャンパンの神様」と讃えられることになります。
ではなぜドン・ペリニヨンという人物が後に「シャンパンの神様」と讃えられるようになったのか?その理由を二つご説明します。
一つ目はシャンパンを発泡性のワインとして造り始めたこと。
これはシャンパーニュが非常に寒い地域であるということにも少し関係しています。
葡萄を収穫し、酵母が葡萄の糖分を分解することででワインが生まれますが、厳しい寒さの中では酵母が活動を停止してしまいます。シャンパーニュ地方では醗酵を完全に終える前に冬を迎えてしまい、その間は醗酵が進みません。
春になり、気候が暖かくなると再び酵母が動き出し、醗酵を再開するのですが、その際に同時にガスを排出します。
樽には栓がしてありますので、樽の中でガスが液体の中に溶け込み、発泡性のワインが勝手に出来てしまっていました。
もちろんドン・ペリニヨンが酒庫係を勤めていた当初、シャンパーニュ地方で造られていたワインはまだ一般的なスティルワインでしたので、
この出てくるガスをなんとかしたい!というのが酒庫係である彼の悩みだったそうで、解決するため試行錯誤を繰り返していたようです。
シャンパーニュ地方のワインは、当時普及し始めたガラス瓶に詰めて主にイギリスに輸出していたのですが、上記の通りガスを含んでいます。
ドン・ペリニヨンはそのガスをなんとかしたいと思っていたわけですが、ここで彼の思惑に反して、「泡の出るワイン」がイギリス貴族の間で大好評となってしまったのです。
ここで彼は逆転の発想に至ります。
つまり
「泡が出るワインとして造っちゃえばいいんじゃないか?」
ということです。
二つ目はシャンパンにおいて非常に重要な項目である「アッサンブラージュ|調合」を生み出したこと。
シャンパーニュ地方は非常に寒い気候であるが故に収穫できる葡萄の糖度が低く、酸度が高いとご説明しました。
卓越したティスティング能力を持っていたとされるドン・ペリニヨンは「酸味が強い」ことへの解決法として、白黒の葡萄、様々な畑、様々なヴィンテージのブレンドを試み、試行錯誤の末、それを解決します。
これがドン・ペリニヨンが生み出したとされる「アッサンブラージュ」と呼ばれる手法です。
味を整えるために、いろいろなワインを混ぜるのです。
はい、シャンパンの誕生です!
シャンパン好きなら一度は飲んでみるべきだと思います。
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シャンパンの製造方法
シャンパンは世界で最も質の高いお酒として有名。
その華やかな見た目と香り、整った酒質。
これは生産者それぞれの大変な努力はもちろんのこと、シャンパーニュ地方が一体となった取り組みがあるためです。もはや「シャンパン」というブランドですね。
その製造方法についてわかりやすく箇条書きにしました。
以下の通りです。
【シャンパンの製造方法】
- 葡萄の収穫|必ず手摘みで収穫しなければならない。
- 圧搾|果汁を搾る。大きく分けて2回の搾汁しか認められていない。
- 一次醗酵|この時点では発泡なしのスティルワインエオ造る。
- 調合|一次発酵でできたワインをリザーヴワインとブレンド。味を整える。
- 瓶詰め|瓶内二次醗酵をさせるため、ショ糖と酵母を加え瓶詰め。
- 瓶内二次醗酵|瓶の中で2回目のアルコール醗酵が起こる。ガスが発生するが、密閉されているため、ガスは液体の中に溶け込み発泡性のワインとなる。
- 澱と共に熟成|醗酵を終えて澱となった酵母と一緒に熟成。
- 倒立|瓶澱を取り出すため、ゆっくり瓶を倒立させ、瓶口に澱を集める。
- 動瓶|一日に瓶を1/8ずつ回転させる。これも澱を瓶口に集めるため。
- 澱引き|瓶口を凍らせる。栓を外すと中身が澱と共に勢いよく飛び出す。
- 門出のリキュール添加|味を調節するために原酒に糖分を加えたリキュールで補酒。
- 打栓|コルクを打って栓をする
- ラベル貼り
上記の製造過程に加えて、熟成期間、アルコール度数など厳しい規定があります。
ラベル表記|甘辛度の見分け方
【シャンパンのラベル表記】
- 生産者名
- アペラシオン
- コミューン(村)
- 残糖度
- ヴィンテージ表記(なければNV)
- 生産者の業態
- 容量
- アルコール度数
※こちらの写真のワインはノンヴィンテージなのでヴィンテージ表記はありません。
【シャンパンの残糖量表記一覧】
表記 | 残糖量 |
Brut Nature|Pas Dose|Dosage Zero | 3g/ℓ 未満 |
Extra Brut | 6g/ℓ 以内 |
Brut | 12g/ℓ 以内 |
Extra Dry | 12〜17g/ℓ 以内 |
Sec | 17〜32g/ℓ 以内 |
Demi Sec | 32〜50g/ℓ 以内 |
Doux | 50g/ℓ 以上 |
表の上から下に行くほど甘くなります。
一般的に多く出回っているシャンパンは上の三つくらいでしょうか?
いわゆる辛口の味わいになります。食事と合わせるにもこれくらいが良いと思います。
逆にDouxとなるとほぼ流通していないのではないかと。なかなか見かける機会はありません。かなり甘口のシャンパンです。
シャンパン以外のスパークリングワイン
「シャンパン」がどのようなものか、何となくわかって頂けましたでしょうか?
それではシャンパン以外のスパークリングワインにはどのようなものがあるのか。
フランス産〜各国の代表的なスパークリングワインを簡単にまとめた表を作りました。
【シャンパン以外の代表的なスパークリングワイン】
ワイン名 | 産地 | 製法と特徴 |
クレマン Cremant | フランス | ブルゴーニュ、ボルドー、ロワール、アルザス、ジュラなど 7つの特定産地で造られる。 瓶内二次醗酵。 ガス圧は3.5気圧程度とシャンパーニュよりは弱め。 |
ヴァン・ムスー Vin Mousseux | フランス | フランス産スパークリングワインの総称。 |
ペティアン Petillant | フランス | フランス産の弱発泡性スパークリングワインの総称。 ガス圧は1.5気圧程度。メトード・アンセストラル(田舎方式) |
カヴァ Cava | スペイン | 瓶内二次醗酵で造られるスペインのスパークリングワイン。 カタルーニャが中心。 シャンパーニュに比べると価格的にも優しい。 |
エスプモーソ Espumoso | スペイン | 瓶内二次醗酵以外のスペインのスパークリングワイン。 |
フランチャコルタ Franciaorta | イタリア | イタリア、ロンバルディア州東部、フランチャコルタ地域で 造られる瓶内二次醗酵のスパークリングワイン。 シャンパーニュに引けを取らないクオリティ。 |
プロセッコ Procecco | イタリア | イタリア、ヴェネト州、グレーラ種を主体に 密閉式タンク方式で造られる。 フレッシュ&フルーティで価格もお手頃。 |
スプマンテ Supmante | イタリア | イタリア産スパークリングワインの総称。 |
フリッツァンテ Frizzante | イタリア | イタリア産の弱発泡性ワインの総称。1〜2.5気圧程度。 |
ゼクト Sekt | ドイツ | ドイツの高級スパークリングワイン。 二次醗酵は大きなタンクで行うシャルマ方式。 ガス圧は3.5気圧程度とシャンパーニュよりは弱め。 |
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まとめ
今回はシャンパンについて、初心者向けの解説をさせていただきました。
一般的なスパークリングワインとは一線を画す高い品質。それぞれの造り手のこだわりと、伝統を守るという地域全体の取り組みにより維持されています。
- シャンパンはフランス・シャンパーニュ地方で造られるワイン。
- 「シャンパン」、「シャンパーニュ」基本的に意味は同じ。
- 発泡性のワインは偶然の産物。造り始めたのはドン・ペリニヨンという修道士。
- シャンパーニュ地方は寒い気候のため糖度が低く酸度が高い葡萄ができる。
- それを解決したのが同じくドン・ペリニヨンの「アッサンブラージュ」。
- シャンパーニュ地方には製造方法など厳しい規定があり、常に高い品質のワインを造り出すための伝統技術がある。
- シャンパンのラベル表記の読み方がわかればより楽しめる。
- シャンパンの残糖量表記の読み方。大体の甘辛度はこれでわかる。
- シャンパン以外の代表的なスパークリングワイン。それぞれに造り方、葡萄品種などの決まりがある。
こんなところでしょうか。
この記事を読んで少しでもシャンパンを好きになっていただけたら嬉しいです!
最後までお読み頂きありがとうございました!